遠い遠い砂漠の国 ニジェールを旅してみませんか。想像という舟に乗って。

サハラ砂漠で生まれた寓話集

世界でいちばん隣の木と離れていて、たった1本で生きている木「テネレ」

サハラ砂漠の奥深くに眠っている、大きな湖の女神「アルピエンヌ」

砂漠に稲妻が落ちた瞬間、世界で一番速く石になる「フージーライト」

砂漠の真ん中に、地下の溶岩が突き出て山になってしまった「アイール」

砂漠の奥地にある塩の塊を求めて遠い遠い旅をするラクダのお話「ビルマ」

砂嵐のあとに一瞬あらわれて、サソリの話をしてくれる恐竜「ジョバール」

海と砂漠をつなぐ鉄道の実現を夢見た、終着駅という名の「ホテル・テルミニュス」

何もない砂漠で生きる不思議なものたちの声が心に沁みわたる、7つの物語。

 

ニジェール物語製作委員会の活動

はじめに


 

はじめまして。最初に、この物語との出会いについて話させてください。

2014年、かつてサハラ砂漠のキャンプで暮らし、今はニジェールで寺子屋を作って子どもたちの教育支援をされているフクダヒデコさんに出会いました。フクダさんが書かれたとのことで見せてくださったのが『ニジェール物語』。まだ本の体を成していない小冊子でしたが、読んですぐこの物語の虜になりました。この物語の豊かさは何だろう。絵本にしたい、映像化したいと思いました。サハラ砂漠を舞台にした七つの寓話からなるこの物語から、行ったこともない砂漠の風景がはっきりと、とてもカラフルにイメージできたのです。360度どこまで行っても砂しかないはずなのに、いろんなものがキラキラと輝いて見える世界。日本中、世界中の人に読んでもらいたい、見てもらいたいと思いました。

 

想像力が、夢みる力を育てる


今も、世界では、歴史も文化も違う大勢の人間が、それぞれの事情や主義主張を抱え、争いが絶えることはありません。でも、みんながほんの少しの想像力を持つことができたら、違う世の中になっていくのではないでしょうか。

この物語は、何もないと思っていた場所に、実は胸を打つ営みがあり、ずっとそこにいたくなる景色があり、言葉に出さなくても多くのことをわかりあえる存在があると、気づかせてくれます。少し大げさで、おこがましいかも知れませんが、この物語が子供たちの想像力を刺激し、夢見る力を育む一助になれば、と考えました。

絵本を、動く絵本を、子どもたちに届けたい


私たちはすぐに準備を始めました。製作委員会を組織し、まずは絵本作りから。イラストレーターやデザイナーを巻き込み、協力者を募り資金を集め、2016年秋に、まず絵本『ニジェール物語』の出版に漕ぎ着けました。そして、多くの人に読んでもらう方法の一つとして、まず小中学校の図書室に寄贈することに。新聞やSNSを通じて約50校に届けることができました。しかし、その後がなかなか続きません。誰も知らない人が作った誰も知らない絵本は、誰も見てくれませんし書店にも置いてもらえません。

 

そこで、今度は絵本を映像化して、全国の小中学校を始め様々な場所で上映会を開催しようと考えました。ありがたいことに、とても良いタイミングで「Panasonic NPOサポートファンド for アフリカ」の助成をいただき、2017年秋、絵本の原画を元にした、動く絵本『ニジェール物語』を完成させることができたのです。

 

この映像作品は、公益社団法人 映像文化製作者連盟主催の「映文連アワード 2018」において『文部科学大臣賞』を受賞。小中学校での上映を目標にして作った映像作品が文部科学大臣のお墨付きをいただけたのです。これを推進力に、今後、全国の小中学校での上映会を実現したいと思っています。

『ニジェール物語』翻訳版を、世界の子どもたちへ


そして、もう一つの大きな目標は、ニジェールの公用語であるフランス語版をつくってニジェールの子どもたちに届けること。英語版や、サハラの言語版も作りたいと思っています。フクダヒデコさんの寺子屋で学ぶ子どもたちにもこの物語を届けたいです。そして、いつの日か、世界中の言語で翻訳されることを願っています。そう、同じ砂漠の物語『星の王子様』のように。

 

世界中に平和が訪れ、みんなでサハラ砂漠に沈む夕日を見る。いつかそんな日が来ることを夢見て。