孤独に寄り添いつつも、常に顔を上げて、未来を見ているようなところがいい。

絵本『ニジェール物語』を読んだ方から、素敵な素敵な、大人の読書感想文をいただきました。ご紹介します。

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ニジェールという国があることは知っていた。

といっても「今日は何の日?」で、この国の独立記念日と私の誕生日が同じ日だと知ったとか、

中央アフリカに関する少々難しい内容の本に辟易していたところ、地図を見て

「あ、ニジェールだ」と思い出したおかげで辛うじて挫折せずに済んだとか、そういう御縁である。

 

ところが最近になって、『ニジェール物語』という本の出版を知り、

「あ、ニジェールだ」が重なった。折しもオリンピックでの国歌間違いハプニングもあり、

今年はニジェールに縁があるなぁ、と思いつつAmazonで購入。

 

届いた本は印象的な絵と装丁がなんとも素敵で、

昔はこんなキレイな絵本なんて無かったよねぇと感心しながら読み始めたら、

不覚にも第1話にしてウルウルの神様が降臨、まだ居座っている神様のおかげで

小学校以来四十年ぶりの読書感想文を書いている。

 

この本、七つの寓話の持つ不思議な雰囲気とイヌイマサノリ氏の描く世界の組み合わせが素晴らしい。

読み始めは圧倒的な孤独感に打ちのめされ、そのうちどうやら絶望してはいないようだと気づき、

いつの間にか優しくて透明な孤独が心地よくなっている。

孤独に寄り添いつつも常に顔を上げて未来を見ているようなところがいい、と思う。

 

最後に絵本を読んだのは甥っ子相手のかれこれ二十年以上前で、当時この本に出会っていたら

繰り返し読んであげたかったなと思う次第。イロイロあって少々お疲れ気味のオトナも、

久しく忘れていた何かを思い出したりする…かも知れない。